ペットが持っている菌
「猫に噛まれたり引っかかれたりした時はすぐに処置をしてください」とよく言われます。
これは犬の噛む力が強いので、傷口が大きくなりやすいため、猫は牙が細く鋭いので皮膚に刺さりやすいということ、猫は爪も鋭いので皮膚が避けたり切れたりしやすいことで、菌が入りやすいからです。
では、どんな菌を持っているのでしょうか。
- バルトネラ・ヘンセレ(以下、バルトネラ菌)という菌です。グラム陰性桿菌で「猫ひっかき病」の原因菌です。
- パスツレラ属はグラム陰性通性嫌気性細菌です。ペットの口の中にいます。
- 真菌であるカビの仲間の糸状菌。
バルトネラ菌
好気性細菌であるバルトネラ菌は猫の5%~20%が保有していると言われ、猫ひっかき病と言われる通り、引っかかれたりすると人に感染します。猫はもちろん犬からも感染します。犬や猫の常在菌で、犬や猫では無症状ですが、人に感染すると症状が出ます。
引っかかれたり噛まれたりする他、ノミも媒介します。
猫ひっかき病は寒い所より温暖な地域での発症例が多く、日本では西日本に多い傾向があります。ただ、ノミの繁殖に関係している秋から冬にかけての発症例も多いです。
バルトネラ菌に感染して、10日以内に症状が現れます。症状は傷口が化膿して水疱ができたり、リンパが腫れたりすることで発熱します。
パスツレラ属
パスルレラ属はグラム陰性菌で球桿菌です。
- パスツレラ・ムルトシダ(代表菌)
- パスツレラ・カニス
- パスツレラ・ダグマティス
- パスツレラ・ストマティス
この4種が起因菌とされています。全て口腔内からの検出で体表からは検出されていません。
この菌は犬に75%、猫に100%、ウサギに45%が保有している保有率の高い菌です。口腔内の常在菌で、噛まれたり引っかかれたりすることや、口移しやペットとのキスなどで感染します。
パスツレラ症を発症すると、受傷部位の腫れや痛み、発熱することもあります。蜂窩織炎や骨髄炎をおこすこともあります。免疫が低くなっている人では、重症化して死亡することもあります。
糸状菌
糸状菌とは菌糸から構成されているものの総称で数種類ありますが、ペットでの遭遇率が高いのがミクロポルム・カニスです。
子猫や高齢の犬や猫によく見られるカビで、皮膚糸状菌症を引き起こします。皮膚や爪や毛などから増殖して発症する皮膚病で、1年も生きていたなどと、なかなかしぶといカビです。
ペットの皮膚が柔らかい場所に発症し脱毛します。
人に感染するとかゆみや皮膚炎をおこします。
上記のようにペットの菌はペットから人へ移る菌でもあります。
内容:「人獣共通感染症」という動物から人へうつる感染症について伝播経路や菌の保有動物、注意や予防対策について。