水道水や除菌水、プールなど塩素を使っているものは塩素臭がつきものです。しかし実は塩素には臭いがありません。動画版はこちら
塩素臭の正体はクロラミン
塩素はアンモニア性窒素と反応して「クロラミン」を生成し、臭いを発します。
塩素ガス・次亜塩素酸、次亜塩素酸イオンを総称して有効塩素と言いますが、この有効塩素とアンモニア性窒素が反応するのです。
この「クロラミン」が塩素臭、カルキ臭と言われる臭いの正体です。
クロラミンとは
クロラミンが生成される時に一役買うのがアンモニア性窒素ですが、アンモニア性窒素とは生物の死骸やフン、尿など由来の有機窒素というタンパク質やアミノ酸であり、尿やお水の中に常にあるものです。
このアンモニア性窒素と塩素が出会った時に「クロラミン」ができます。
概要:塩素と数種のアミノ酸でのトリクロラミンの生成状況の実験。塩素とアンモニアの反応が最も大きかった。
クロラミンにはという3つの種類があります。
- モノクロラミン
- ジクロラミン
- トリクロラミン
主にトリクロラミンが臭いの正体と言われています。ジクロラミンも臭いの正体の1つではありますが、臭気閾値(しゅうきいきち)が低いのがトリクロラミンであることから「主に」臭いの正体と言われるゆえんになっているようです。
アンモニア性窒素はお水の中や尿などに含まれていると書きましたが、人に一番関わるのは尿と汗。汗の中にも含まれます。
プールやお風呂の塩素臭はこれが大きな原因とも言われます。
クロラミンの影響
プール臭の原因はクロラミンですが、塩素濃度は水道水と同じなので人体への影響はない、と言われています。しかし入泳者にとっては目・鼻・喉の痛み・肌への刺激の原因です。プールで潜ったりして目や体内に入り、刺激を受けます。潜ることをしないお風呂では影響はないと言えます。
そして、観賞魚の飼育ではモノクロラミンが魚にとって有毒であるため、水道水を使用するのを避けます。塩素自体は数日間で揮発しますが、モノクロラミンは揮発しにくく残ってしまうため、観賞魚のお水用の薬剤が販売されています。
モノクロラミンが含まれていない水道水を使用したとしても、魚の糞尿などに含まれるアンモニアと反応して生成されることがあり、注意が必要です。やはり魚でも「尿」が起因するのですね。
反対にモノクロラミンは除菌をしますので、レジオネラ菌対策などでも使用されています。表裏一体なのです。しかし、アンモニアの10倍の塩素がなければ除菌ができないとの結果もあります。
概要:水の消毒と塩素の特性について、メリット・デメリットなど詳しく考察。
塩素がアレルギー症状を悪化させる可能性もある
「塩素アレルギー」という病名はないとされています。しかし塩素で具合が悪くなる事例が多くあります。塩素によって体の粘膜が傷んでしまいアレルギー症状が悪化することがあるのです。
皮膚に刺激を与えアトピー性皮膚炎が悪化したり、鼻の粘膜への刺激でアレルギー性鼻炎などの症状が悪化するなど、塩素の刺激によっておこる「悪化」です。
昨今、アルコールも塩素も以前より触れる機会が増えていますし、触れる量も増えています。
適度な曝露量でいることが大事です。
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