アルコール製剤が菌やウイルスを不活化させる仕組み

消毒に使うアルコール製剤の主成分はエタノール。エタノールは細菌類の生体膜を透過して細胞膜やタンパク質を変性させます。ウィルスはエンペロープという脂質で作られた膜にタンパク質が刺さったような構造をしています。エタノールがこのタンパク質を変性させ、そして揮発するときにウイルスの中の水分を持ってゆき不活化します。

この性質は人間の皮膚にも影響があります。人間の身体は大雑把に言うと水分と脂質とタンパク質でできていて、タンパク質は約16%といわれます。アルコール製剤で消毒をすると皮膚の主成分のタンパク質が変性させられ、「荒れる」という現象をおこします。

つまりエタノールはその働きがウィルスの不活化にも効いているが、かつ皮膚にも影響があるということです。影響云々は別として、アルコールは医薬品なので「手指消毒」の目的で使用ができます。菌やウイルスによってはアルコールの影響を受けにくいものがあります。

GSE(グレープフルーツ種子抽出物)がウイルスや菌を不活化させる仕組み

グレープフルーツ種子抽出物には天然の界面活性成分が入っています。この界面活性成分が菌やウィルスを包み込み、天然のフラボノイドが浸透圧で中の水分を抜いて不活化します。タンパク質を壊す事無く、ウィルスや菌の中の水分を抜き取り不活化します。もちろんウイルスに限らずバクテリアやカビ類の細胞膜も同様の原理で破壊します。

海外におけるGSE(グレープフルーツ種子抽出物)の扱い

論文はこちら

「800以上の細菌およびウィルス株、100株の真菌および多数の単細胞および多細胞の寄生虫に対して有効である」

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12165191/

GSE(グレープフルーツ種子抽出物)は医薬部外品リストにも記載されています。

―連番:726/成分コード:520376/規格コード:51

実際にGSEを含む化粧品・薬用石鹸・シャンプー・リンス・除毛剤・育毛剤・薬用化粧品・脇臭防止剤・忌避剤・浴用剤としても市販されています。

GSE製品もアルコール製剤のように販売できるようになるには

GSE商品は次亜塩素酸系除菌剤と同類で雑貨です。アルコールのように手指消毒を目的として販売できません。上記のように海外ではいろんな効果や安全性の論文が多数出ているので、日本でも早々に手指消毒を謳って良い日が来てほしいものです。

元来きれい好きな日本人が、更に念を入れ除菌に励んでゆく社会になりました。建物の入口には必ずアルコール除菌液があります。今回はそのアルコール系除菌剤は菌を壊せるが肌も壊す(タンパク質に影響を及ぼす)というお話でした。1日に何度もアルコール消毒をしていると手が荒れて困りますよね。

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