除菌剤の成分であるエタノールは、燃料としては危険物の扱いをされていても、消毒液になると「危険なものを消すためのもの」になるからなのか分かりませんが、何故か急に危険物として扱うのをやめてしまうような風潮があるように思えるのは気のせいでしょうか。

施設や建物の入り口にある消毒液は、良く見ると管理側の目が届かない場所であることも多いです。過去には店舗入口のアルコール消毒液を使用した迷惑動画が出回っていましたが、「目が届かない場所」に「悪意」のような条件が重なると想像を超えた事態になることがあるのだと改めて感じます。

迷惑動画はアルコール消毒液で可燃性のものですが、「支燃性」「助燃性」という一般的にあまり知られていない言葉が関わる除菌剤の成分があります。燃焼を助ける力という意味になります。そして除菌剤の成分が気化された状態で発生するリスクについても、周知が行き届いていないように感じています。本日はそのお話です。

着火と引火は別物です

【着火】とは意図的に火をあてる事をいいます。火をつける意志がある、わざわざ火をつけることです。

【引火】は他の火や熱を引きつけて燃え始めることをいい、意図的に火をつけることにはいいません。引火性のある液体や気化するものの近くに何かしらの火種があったり近づけたりすることで燃え移ることも引火です。例えば、ガソリンスタンドでの静電気や、キッチンのガスコンロの側にアルコールなどの除菌剤も【引火】して爆発炎上のおそれがあるので火気厳禁と言われています。

火気厳禁のものを火種のある場所に置くことはもちろん危険ですが、人の目が届かない場所に置いておく「保管」でも危険性があります。

アルコール消毒液は濃度60%以上のものは危険物に指定されています。そして、アルコール消毒液は70%前後の濃度を推奨されています。つまりは、除菌能力が高いオススメのアルコール消毒剤は引火しやすく危険物である、ということです。

さらにアルコール除菌液の引火の温度は思いのほか低く、取り扱いには注意が必要であることも以前ブログにしましたが、25℃前後です。(以前のブログ

引火には直接火をあてることで燃え上がる引火と、揮発した気体に火がつく引火があります。

アルコール消毒液は液体のままでも着火・引火するうえ、気化スピードも早く、気体にも着火・引火し、爆発炎上のおそれもあります。

支燃性もしくは助燃性とは

引火性とは火を引きやすい性質のものですが、支燃性もしくは助燃性とは、物質が燃焼するのを助ける性質、すなわち酸化力のある性質をいいます。支燃性(助燃性)または酸化性とも呼ばれ、空気よりも燃焼を促進する物質のことです。

基本的に支燃性物質はガス(気体)ですが、アルコール消毒液のように液体が気化して引火するなど、気化・ガス化することで火と密接に関係することがあります。アルコール消毒液以外の除菌剤はどうでしょうか。

引火はしないけれど助燃性のある除菌剤の成分としては、以下のものがあります。

1,塩素(二酸化塩素など含む)

塩素ガスは支燃性(助燃性)です。他の物質と共に着火点に触れるとその物質を燃焼させます。つまり、塩素ガス自体には爆発性も引火性もありませんが、他の燃えているものをより燃焼させます。

塩素系除菌剤は液体のものが多いですが、塩素は25度でガス化します。燃えているモノは温度が上がるので、付近の気温も上がります。そうなると近くに塩素系の除菌剤などがあった場合、塩素のガス化が起こる可能性が高く、近くで燃えているモノがより燃焼してしまうことになります。

ガス化に関する余談ですが、お風呂は温度が高いため水道水(お湯)の塩素が気化することでアレルギーの悪化が促進するというデータもあります。お風呂場で塩素ガスの濃度が高まり、それを吸引することでアトピー性皮膚炎などが悪化する、という報告もあります。

かなり簡単に気化します。

2,オゾン

オゾンも支燃性(助燃性)、つまりは燃焼を助けます。酸素と協力するのです。オゾンとの反応性の高い可燃物に接触している場合に、その可燃物を燃焼させることがあります。

製品などの安全データシートでも、支燃性・酸化性は区分1とされており「発火又は火災助長のおそれあり、酸化性物質」と記されます。

オゾンはこのところ導入事例をよくお聞きします。ただ、オゾンの性質など詳しく知らずに導入されている例が多いようにも思えます。とにかく酸化力が強いので錆びの問題や保存が困難なことや消臭が長続きしないなどあります。

オゾンは、助燃性より毒性の方が大きな問題かもしれませんがここでは省略します。

除菌剤成分のガス化「注意点」

これらのことから、ガス化する成分は大小あれど火種の側に置いてはいけない、ということがわかります。

燃焼させる力が強くなるだけ、という軽く考えるべきではなく、それが大きな事故の引き金になることもあるかもしれないと気をつけるべき事です。小さなお子様などいる場合は特に注意が必要です。

寒い時期は室温も高く設定するうえ、乾燥もしているのでガス化しやすい状況です。

誤飲や吸引事故もありますので、ガス化するんだと今一度の理解が必要です。

  • 火気の側に置かない
  • 室温で簡単にガス化する
  • 気体になると吸引事故もおきやすい

ちなみにGSE(グレープフルーツ種子エキス)はガス化しません。引火発火しません。アレルギー反応も起こりません。国内では某牛丼店のお新香の保存として、海外ではサプリメントとして使用されている成分です。除菌力は次亜塩素酸や消毒用エタノールと比べて同等かそれ以上の性質です。

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